宿泊施設の固定資産税、基準見直しで減税要望 観光庁


 観光庁は、8月27日に発表した2011年度税制改正要望で、旅館・ホテルの固定資産税について、建物の評価基準の見直しによる減税を盛り込んだ。税額算出の基礎となる建物の評価額は、原則として建築後の年数の経過に連れて下降し、税額も下がる仕組みとなっているが、その下降は緩やかで税額はなかなか下がらないのが実情。旅館・ホテルの場合、旅行者ニーズの変化などで、実際には建物の価値の減少が早く、“寿命”も短いとして、実態に合わせた評価基準に改善するよう検討を求めていく。

 旅館・ホテル業は建物自体が商品である典型的な装置産業で、土地、建物にかかる固定資産税の負担が大きい。日本観光旅館連盟、国際観光旅館連盟などでは、旅館業を取り巻く経営環境が厳しさを増し、旅行者ニーズの変化に合わせた設備改善の資金がねん出できない状況などから、評価基準の見直しなどを含めて固定資産税の軽減を要望していた。

 固定資産税は市町村税だが、総務相が告示した固定資産評価基準に基づいており、観光庁では旅館・ホテルの建物に関する評価基準の適正化を検討するよう要望している。ただ、市町村にとって固定資産税は基幹税目で見直しは減収につながる。旅館・ホテル業の振興を通じた地域経済への効果を訴えるにしても、「実現に向けたハードルは相当高い」(観光庁観光産業課)という。

 検討を求めるのは、建物の評価額の算出に関する建築後の年数経過の基準。評価には年数の経過で生じる価値の減少を考慮するための「経年減点補正率基準表」が用いられるが、旅館・ホテルの減価の進行は緩やかで、最も低い価値に達するまでの年数が長い。非木造、鉄筋コンクリート造の施設では50年もかかる。この年数が短くなり、減価の進行が早い基準になれば、減税につながる。

 観光庁は、具体的な評価基準案や減税見込み額などは示していないが、「顧客ニーズに合致しなくなった建物は経過年数が比較的短くても除却されるような状況にある。固定資産税に関しては、建築後、何年経過してもその評価額が下がらないなど、使用実態に即したものになっているとは言い難い」と指摘している。

 評価基準の見直しが実現すれば、旅館業法に基づく旅館・ホテル6万449軒(09年3月末現在、内訳=旅館5万846軒、ホテル9603軒)が対象となる。

 
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